ライフサポーターの集い

第36回中推協会員による研修会
知っておきたい「成年後見制度」

芳 賀  孝    
10月31日に開催しました、講演会の要旨です。67号と68号2回に分けて掲載します。
1.少子高齢社会の現状と今後の推移
芳賀孝氏  平成19年版、高齢社会白書によると、わが国の総人口は平成18年10月1日現在1億2,777万人となり、 前年に比べてほぼ横ばいとなっている。また、65歳以上の高齢者人口は過去最高の2,660万人となり、 高齢化率も20.8%となっている。高齢者人口の増加は、2042年まで続き3,863万人でピークを迎え、 その後減少。高齢化率も上昇を続け2055年に40.5%に達し、25人に一人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると 推計されている。
 別の報告では2005年の平均寿命は、男78.56歳・女85.52歳、2055年には男83.76歳・女90.34歳と推計、 認知症高齢者は現在160万人を越えており、2025年には倍増するといわれています。 このような状況の中、今後高齢者は自立と地域での助け合いが必要です。
2.成年後見制度について
 ある程度の年齢になると、誰しも判断能力が衰えてきます。判断能力が衰えてくると、老後のためにせっかく蓄えてきた 財産の管理が困難になってきたり、生活していく上で様々な支障が生じてきます。 例えば、知らないうちに子供たちに財産を使われてしまったり、訪問販売などで、 さして必要もない高額商品を買わされてしまうかもしれません。また、介護が必要になってもどうすれば良いのかわからないで、 サービスを利用できなかったり、施設に入所するための契約がうまく結べないという事態も発生しています。 そんな時、本人に代わって財産管理をしてくれたり、本人が誤った判断に基づいて契約した場合には、 それを取り消したりしてくれる人が身近にいてくれたら、どんなに安心でしょう。
 長い間福祉の分野は、行政による「措置」によって保護・支援がおこなわれてきました。 平成12年4月、介護保険制度の導入により、利用者が自由な意思で事業者を選択し、 契約してサービスを利用する仕組みに変わったことで、 個人の自己責任に基づく「自己選択と自己決定」が求められることになりました。
 福祉サービスの利用者の中には、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者など、自 分でサービスを選択したり決定することが困難な人もいます。また、加齢により判断能力が不十分になることもあります。 これらの人を支援するため、介護保険制度のスタートに合わせて成年後見制度が実施されました。
 成年後見制度には、判断能力が不十分な場合の「法定後見制度」と、今は判断力があるが将来の不安に備える「任意後見制度」の 2種類があります。
 1)法定後見制度
 (1)対象者の状態により支援のレベルが、補助・保佐・後見の3段階があります。

 (2)申し立てから決定までー手続きの流れ
   手続きの検討・準備
    @ いつ申し立てるのか  →必要を感じたとき
    A 誰が申し立てるのか  →申立権者
    B どこに申し立てるのか →在住所所管の家庭裁判所
    C 申し立てに必要な書類は→申し立て書一式、診断書等(様式は家庭裁判所で配布)、
                  戸籍謄本、住民票等
    D 申し立てに必要な費用 →申し立て手数800円〜。登記印紙代4000円。郵便切手
                  4300円〜(額面や枚数に指定)。鑑定費用10万円程度等
   申し立て
    E 誰が後見人等になるのか→特に資格等が必要なわけではない。
                  親族、弁護士等が後見人候補者になる。
                  * 複数後見、法人後見も可能です。
                  * 未成年者、破産者等は選任されない。
                  * 家庭裁判所が決定・選任します。
   家庭裁判所の調査―家庭裁判所が申立人、後見人等候補者、本人、親族から事情を聞きます。
    鑑 定―家庭裁判所が鑑定医に依頼します。事前に鑑定してくれる医師を探しておくと、
            手続きがスムーズに進みます。鑑定費用の一般的価格は10万円です。
    審 問―必要があるときは家庭裁判所の審判官が本人や関係者から事情を聞きます。
    審 判―審判後、抗告期間(関係者が異議を申し立てをできる期間)が2週間ある。
    審判確定―F手続きの期間は→申し立てからここまで、問題がなければ3〜4ヶ月
    成年後見登記―家庭裁判所が法務局に依頼し成年後見登記がされます。(戸籍登記なし)
    成年後見人等として援助開始
      G後見人等への報酬は→家庭裁判所が報酬額を決め、本人の財産の中から支払われます。
       交通費や官公署への手数料等の実費は、報酬とは別に本人の財産から支払われます。
(3)成年後見人等の役割
   本人の意思を尊重し、本人の生活状況や心身の状況に配慮しながら、
   同意権、取消権、代理権といった権限を使って、
   本人の財産の管理や生活に必要な手続きなどをおこないます。
   成年後見人等は、ヘルパーがおこなう食事介助や入浴介助をすることはできません。
   但しそのヘルパーを手配するのは成年後見人等の役割です。
   また、手術の同意、婚姻、養子縁組、遺言など本人しかできない一身専属的な行為は、
   成年後見人等が代わって行うことはできません。
(4)成年後見登記制度
   成年後見人等や成年被後見人等の氏名・住所などの他、成年後見人等の権限や任意後見契約で
   定めた権限などを登記する制度です。「登記されていないことの証明書」もあります。
   証明書交付申請先:〒102-0074 東京都千代田区九段南1−1−15 九段第二合同庁舎
            東京法務局民事行政部後見登録課 電話03−5213−1234(代表)
   交付申請できる人:本人、配偶者、4親等内の親族、成年後見人等
   費 用     :登記事項証明書1通当たり 登記印紙 800円、非登記 400円
次号に続く    
(C)NPO法人東京都中高年福祉推進員協会

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