石川 光雄
内蒙古は北京から最も近い自治区であるが面積は日本全面積よりも広く私の訪れたのは、
首都の呼和浩特(フフホト)市より西方の臨河市の南西部までの約500Kmの範囲にあるカシミヤ編み物工場数社であって、
しかも内蒙古でも人口の比較的多い地域だけである。
全体の約1%の面積を訪ねたにすぎない。この限られた狭い範囲の見聞記であることを予めご承知ください。
それでも都市部を離れると急に荒野が始まり広がっている。
- 10数年前には地方の民家には1軒に薄暗い電灯が1灯しかない状態であった。
舗装された道も少なく少しの雨でもぬかるむでこぼこ道で、日干し煉瓦造りの小さな民家が多かった。
それが今では各家にTVがあり主な道路は舗装されている。都会では高層マンションの住居団地が続き、
年度を追うごとに経済発展のすさまじさを感じさせられる。
- しかし人口も少なく、人手が掛けられない自然のままの大地は荒野で残されている。
樹木も太い背の高い木がない。また包頭市より西では樹木の種類も少なくポプラや楊柳類が防風のため道の両側に
各2列に植樹されているのが目立つ程度で黄河から引いた水で灌漑された地区を除き、樹木は目に入らなかった。
家畜の飼料として植えられている背の低いトウモロコシの葉や茎が冬の家畜餌として栽培されているのが目立った。
小麦は育たないそうで、燕麦が主に植えられ、夏はハミ瓜、スイカが名産品として道路脇にごろごろと置かれて売られていた。
尚、土地が痩せ、雨がめったに降らないので水不足で作物の栽培には適さないようだ。耕作地が少ない。
放牧を中心にモンゴル族は生活している。必然的に工業、商業は漢民族が実権を握って活動している。
このため貧富の差は急拡大している。
人口密度:約20人/ Ku 人口の大半は都市に集中
- 人口の約10%が蒙古族で、漢民族が大半を占める。 回族(イスラム教徒)などの少数民族と多民族がまじりあった
現地の人を見ても、日本人と見分けられない顔形、容姿、態度で言葉だけが違っている感じだった。
彼らは、初対面の時に私は○○族と名乗ることが度々あった。ビジネスや仕事面では性差は感じられず女性の社会進出は進み、
対等に生活・活動している印象であった。
- 中国はどこでも同じように内蒙古でも交通ルールは、未確立だった。
- 鉱物資源 :石炭(無煙炭で露天掘り)。鉄鉱石。希土類金属(レアメタル)が豊富である。
- 幹線道路や高速道路が盛んに作られ舗装された幅の広い立派な道がある。
- 衛生観念の違いがあり、入浴習慣がない。トイレが簡単作り。などに戸惑う。
- 急激に都会に人が集まってきて、急膨張しているため都会では日干し煉瓦作りの民家は壊され
団地住宅に建て替えられている。
- 宗教は仏教(チベット仏教を含む)、イスラム教の寺院が多く立派。
世界一のカシミヤ原毛の生産地である内蒙古では、近年は原料輸出よりも加工した紡績糸、編み立てをした
セーター等に付加価値を付けて輸出するようになった。さらに付加価値を付けるため、加工後は改質されて、
着用後に各家庭で家庭用電気洗濯機を用い、水で洗濯を繰り返しても寸法収縮しない上、手触りや風合いの変化が僅かで、
かつ、毛玉の発生を少なくする加工を望むようになり、私たちが開発した技術を現地に移転した。
この生産方法の指導と技術移転のために赴いた。
- 冬季は非常に寒気が厳しく、降雨量の絶対量は少ない。雨はめったに降らないが、
雨が降るときはまとめて土砂降りになり短時間であったが、台風の時の豪雨のような雨になったことがある。
水の流れた所は溝ができ扇状地のような地形となって残っている。
水の湧き出ているところが、5〜20km離れて有ったが長い川にまでならずに、地中に消えてしまう。
このような場所に数軒の集落があった。
- 山への植林は盛んになされているようだが、水がなくて、殆ど根付かないで枯れてしまうのと、
うまく根付いても山羊などの家畜が入ると食べてしまうので山の麓には、延々と家畜の侵入防止柵が続いている。
また、平地でも羊は葉を食べてしまうと根まで掘り出して食べてしまうため翌年は草も生えない。広大な放牧地も柵で囲まれている。
柵の目的が分かるまで大変奇異に思った。フフホト市には大きな公園があり、水の貴重な土地柄のためか大きな池がいくつもあって
市民の憩いの場所になっていた。水があるせいか樹木が太く丈も高くなっている。樹木の種類も多い。
- 黄河の逆U字型北西端部は山がなく、少し南に下がった所の川幅が狭まった所に黄河を堰き止めるダムが出来ていた。
堰き止めた水は運河に流れ込み、黄河北西部の平野の灌漑用水として利用されている。
黄河の色は赤い茶褐色で、水を掬ってみても粒などは見えない、でも色は付いている。ペットボトル入りウーロン茶の感じ。
- 砂漠:内蒙古には巨大なゴビ砂漠をはじめ大小さまざまな砂漠がある。そのうち砂の流動している50%以上の砂漠が最も厄介であり、
残りは流動の止まった固定化砂漠で草原も砂漠の一つである。日本に黄砂を降らす元である黄土高原も内蒙古にある。
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