ライフサポーターの集い

プロフィール
1936年福井市生まれ。60年東宝株式会社入社。 宣伝部、助監督を経て映画監督。97年より映画出前のボランティア活動を続ける。 主な映画作品「青い山脈」「挽歌」「あいつと私」「若い人」「残照」「炎の舞」「青春グラフティ スニーカー・ぶるーす」「ウィーン物語 ジェミニYとS」「プルメニアの伝説」など。 主な著作に「映画、出前します」「母の大罪」「死とともに生きる」「映画の創造」「美しい烙印」など。
 映画出前のボランティアを始める前に、私にはボランティアで10年間の助走がありました。
アルゼンチンの日亜学院に勤める日本人の保母さんからの投書が朝日新聞に載りました。 日亜学院では教材が少なくていつも教材作りに追われる、日本では粗大ごみになっている日本語の本があればという内容でした。 日本の企業にお願いしたら本の詰まったダンボールをいくつもいただきました。横浜まで運べばよかったのです。 世の中には善意があふれている、やればできると感じました。 そのあと日亜学院にソフトボールを送ったり、中国残留孤児に衣服を送ったりしました。 そのような活動を10年間続けてきました。
 還暦を迎えた時、お年寄りに映画を届けるというアイデアが浮かびました。 そして約1年をかけて準備をしました。60歳で受け取った厚生年金の1、2回分、40〜50万円を投入して機材を購入しました。 問題はビデオの著作権でした。飛行機の中でやっているような業務用のビデオを使うと1回の上映で2.5万〜3万か
かります。 とてもボランティアでは高くて使えません。 4割引で交渉したら交渉に応じてくれました。 法の運用には柔軟性があることを知りました。この問題では7年間苦労しましたが、面白かったというのが感想です。
 私はボランティアで3つのことを決めています。
@いやなことはやらない。エンジョイできることをやる。
Aけっして無理はしない。一人で楽にやれることをやる。
B思ったことは何としてでもやる。「その内ねー」はよくない。
 10年間の助走で得た、人脈、経験、知恵を活かすようにしています。
ここで「人間ドキュメント」のビデオ「映画届けます」を40分間放映。
 最初は映画の出前にお茶とお茶菓子を持って行っていました。 元ジャイアンツの国松さんが副社長をしている亀屋万年堂の和菓子を国松さんのご好意に甘えて無料で持参していました。 ところがそのサービスは相手の方を申し訳ないという気持ちにさせたようです。そこで半年でやめました。 奉仕する側と奉仕される側はフィフティ−フィフティ、実費はいただくことにしました。それでも基本の精神は奉仕と心得ています。
 英語にマイ・プレジャーという言葉があります。「私こそ」「あなたの喜びは私の喜び」ということなのでしょう。 そういう気持ちにならなければボランティアはやっていけないと思います。
 昔の映画はご覧いただいている方一人ひとりの人生を思い出させるようです。
元気をいただくようでタイトルを見るとお顔が明るくなります。 私は映画が終わったあとちょっとお話をします。自分にしか出来ないお話をします。それが生きがいにもなっています。 ただ、もうあと数年しか出来ないだろうと思っています。嬉しいことに一緒にやろうという方が出てこられました。 もしこの中にもいらっしゃいましたら、一緒にやらせていただきたいと思います。
 10月3日に外国人を招いて高齢者が主体でシネマ交流会をやりたいと思っています。 小津さんの名作を見ながらの交流会です。これは依頼されての出前でなく主体的なシネマサロンです。
 最後の言葉は「仕事」です。映画監督は死ぬまで現役を続けます。定年は自分で決めます。
(文責 新田)
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