ライフサポーターの集い
第26回内部講師研修会
芳賀 孝 
講演中の講師芳賀 孝氏  介護保険制度の施行後5年、初めて見直しされます。 厚生労働省は制度改革の全体像概要を昨年末に発表、今年2月8日国会に法の改定案を提出、4月から審議されます。
 これに先立ち平成15年3月、「介護保険制度の施行後見えてきた課題」、 「団塊の世代が65歳以上になる2015年の高齢者介護のあり方」の検討のため、 厚生労働省老健局長が『高齢者介護研究会』を設置し検討を委託、6月26日『2015年の高齢者介護』の報告書が提出された。
報告書では、介護保険施行後に見えてきた課題として、
  1. 要介護認定者の増〔軽度者の大巾増、サ−ビスが状態の改善につながっていない〕。
  2. 在宅サ−ビスの脆弱性。
  3. 認知症(痴呆)高齢者の顕在化〔要介護認定者の約半数、施設入所者の8割に認知症の影響がある〕。
  4. 新たなサ−ビスの動き等がある。
 更に、課題解決の前提として「制度の維持可能性の確保」があるとし、目標を『高年齢者の尊厳を支えるケアの確立』とした。
それには、新しいケアモデルの確立として、認知症(痴呆性)高齢者ケアが必要であり、
生活の継続性を維持するための新しい介護サ−ビス体系として、在宅で、365日・24時間の安心を提供するため、
小規模多機能サ−ビス拠点の整備を含めた地域包括ケアシステムの確立と、これを支える「サ−ビスの質の確保と向上」等を必要としている。
この報告書を基本に介護保険制度改革の検討がなされ、都道府県・関係機関から多くの見直し意見を含め、 以下に示すような『介護保険制度改革の全体像』案がまとめられた。

T、介護保険制度の改革
  1. 予防重視型システムへの転換(平成18年4月施行)
    〔軽度者の大巾な増加、軽度者に対するサ−ビスが状態の改善につながっていない〕  《末尾の補足資料“介護予防のホ−ムヘルプサ−ビス”を参照》
    • 新予防給付の創設:要介護状態等の軽減、悪化防止に効果的な軽度者を対象とする新たな予防給付を創設、 マネジメントは新たに創設される「地域包括支援センタ−」等が実施する。
    • 地域支援事業の創設:要支援・要介護になる恐れのある高齢者(高年齢者人口の5%程度)を対象とした効果的な介護予防事業を、 介護保険制度に位置付ける。事業責任は市町村。

  2. 施設給付の見直し(平成17年10月施行)
    〔在宅と施設の利用者負担の公平性等から〕
    • 住居費・食費の見直し:介護保険3施設等の住居費・食費を保険給付の対象外とする。
    • 低所得者への配慮:負担軽減のため、新たな補足的給付を創設する。 旧措置で特養に入所した者は、現行の負担軽減措置の期間を、更に5年間延長する。

  3. 新たなサ−ビス体系の確立(平成18年4月施行)
    〔一人暮らし高齢者や認知症*高齢者の増加等。在宅支援の強化等から〕
     *「痴呆」の名称を「認知症」に変更。
    • 地域密着型サ−ビスの創設:身近な地域で、地域の特性に応じた多様で柔軟なサ−ビス提供が可能となるよう「地域密着型サ−ビス」を創設。
       (例)小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護、認知症高齢者専用デイサ−ビス等。
    • 地域包括支援センタ−の創設:地域における総合的な相談窓口機能、介護予防マネジメント、包括的・継続的マネジメントの支援を担う。
    • 医療と介護の連携強化。
    • 居住系サ−ビスの充実:ケア付き居住施設の充実。有料老人ホ−ムの見直し。

  4. サ−ビスの質の向上(平成18年4月施行)
       〔指定取消事業者の増加など質の確保が課題。利用者によるサ−ビスの選択を通うじた質の向上。ケアマネジメントの公平・公正の確保等から〕
    • 情報開示の標準化:すべての介護サ−ビス事業者に事業所情報の開示を義務づける。
    • 事業者規制の見直し:指定の更新制の導入、欠格要件の見直し等。
    • ケアマネジメントの見直し:ケアマネジャ−資格の更新制の導入、研修の義務化等。

  5. 負担の在り方・制度運営の見直し(平成18年4月施行)
     〔低所得者への配慮、利用者の利便性等から〕
    • 第1号保険料の見直し:a.設定方法(低所得者の保険料軽減等負担能力を反映〔5→7段階に〕) b.徴収方法(年金から天引きする特別徴収の対象を遺族年金、障害年金へ拡大。特別徴収対象者の把握時期を複回数化) 
    • 要介護認定の見直し:a.申請代行(初回認定時の代行限定) b.委託調査(申請者入所施設への委託禁止)
    • 市町村の保険者機能の強化:事業者指定の関与を強化。事業所調査権限の強化等。

  6. 被保険者・受給者の範囲
    社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しと併せて検討を行い、平成21年度を目途に所要の措置を講ずる。

U、介護サ−ビス基盤の在り方の見直し
  1. 地域介護・福祉空間整備等交付金の創設(平成17年4月施行)
    • 市町村に対する交付金:地域密着型のサ−ビス拠点、介護予防拠点、地域包括支援センタ−等。
    • 都道府県に対する交付金:特別養護老人ホ−ム等の整備や既存施設の個室・ユニット化等。
補足資料
「介護予防で目指すホ−ムヘルプサービス 〜その人らしい生活の継続のために〜」
ホ−ムヘルプサ−ビスは在宅生活を支える「要」です。「介護予防」でもサ−ビスはなくならない。
要介護度が悪化しないよう、本人の「意欲」を引き出す「自立支援」に資するサ−ビスを目指す。

事例:配偶者に先立たれた一人暮らしの高齢者 《安易な「家事」のホ−ムヘルプサ−ビス》
↓*調理、洗濯、掃除をヘルパ−がやる。本人は隣で見ているか指示するだけ。
↓*自分で「していること」や「できること」もしなくなる。ますますヘルパ−に依存する。
↓*「立ち上がり」や「歩行」の機能が落ちて歩けなくなる。生活の機能がますます低下する。
↓*「閉じこもり」になる。「寝たきり」や「痴呆」が進む。精神的にも身体的にも自立が失われる。その人らしい尊厳のある生き方が失われる。

◎ 介護予防のホ−ムヘルプサ−ビス 《「できること」を増やし「している」を実現》
↓*軽度の利用者はできる機能が多く残っている。ヘルパ−は、本人の「できること」を見つけ、 本人の「意欲」を引き出す「工夫」をする。 できることは本人が行い、できないところをヘルパ−が支える。少しずつ「できること」を増やしていく。
↓*自分で「できること」が増える。自分で実際に「していること」で自信がつき、 生活に「充実感」も生まれる。新しいことに「挑戦」する「意欲」も生まれる。
↓*サ−ビスに頼らなくても自立した生活が送れるようになる。尊厳のある生き方が実現される。
以 上
 
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