ライフサポーターの集い
通常総会、第二部、太田隆次氏講演
太田 隆次 氏
講演中の大田隆次氏  プロフィ−ル:1959年京都大学法学部卒。同年、日本ペイント入社、人事部長、国際事業部長歴任後、 グレ−スジャパン入社。1995年国際人事研究所を設立、現在に至る。フルブライト記念財団事務局長の要職に携るかたわら、 コンピテンシ−を日本に紹介した第一人者として、多方面に活動中。主な著作に「コンピテンシ−/アメリカを救った人事革命」 「年俸制が気になりだしたら読む本」「万葉時代のさらり-まん」「ト−タル成果主義」など。

講演の要旨
はじめに
1)人事が専門で歴史学者ではないと断わった上でこの著書を書かれた経緯として話されたことは、 中学校時代を奈良で過ごし万葉集に慣れ親しんでいたこと、15年前年俸制の歴史を調べていくうちに、 今日の人事のル−ツは万葉の時代*にあることに突き当たったこと、更に万葉集には、 庶民が当時の世相や人情を詠み込んだ多くの歌が収録されており、当時の様子が臨場感を持って知ることが出来ることです。 (*万葉時代とは、歴史上の名称ではなく、万葉集に収録された歌の年代、叙明天皇から大伴家持最後の歌までの約130年間)
2)混乱の時代には歴史に学べと云うが、歴史を学ぶ意味は、単なる類似性発見でなく、前の社会現象がどうして起こったのかの法則性を見出し、 現在に更に未来に当て嵌めていくこと、一種の「バックトゥ−ザフュ−チャ−」です。万葉の人々から見て現代の我々はどう映っているかということに関心があった。
ビッグバン
1)国は縦軸に文化・伝統と横軸に国際化のベクトル(ビッグバン)で摩擦を起こしながら発展する。 我が国は、今日金融システムの変革「ビッグバン」を迎えているが、歴史的に見ると、万葉時代、明治維新、戦後と過去3回のビッグバンを経験している。
2)万葉時代とは、冠位十二階・大化の改新・大宝律令の三つビッグバンが、文化も法律もない日本を初めてかたちのある国にしたと云う意味で、 疾風怒涛の国造りの時代であったといえる。
3)今日のビッグバンを乗り切れる否かを見極めるにはこの先15年は要するだろう。
人事考課と成果主義
1)どの国どの時代でも、 文化風土に一番近い人事制度は、社会、経済の影響を受ける。 当時の人事関係の元になった法律は、中国にあるがそのまま持ち込んだのではない。 考課という文字のル−ツになった「考課令」は、「考仕令」=勤務評定、「課試令」=登用試験の両方を纏めたものである。 当時の人事関係の法律である「考課令」「官位令」に出てくる言葉を現代風に言い換えると次のようになる。
面接フィ−ドバック=対読。
評定=考課(考+課)。
成果主義=功過行能(功績+過失+行動+能力)。
5段階評定=9段階評定。*職能資格制度=官位制。
年俸制=(田+戸+繊維製品+鉄製鍬)。実績・態度・能力を評価項目とする人事考課が1300年も前から同じ仕組みで行われており、考課のル−ツは万葉時代にあった。
2)万葉時代の俸給制度は、現物支給100%であり、現物支給の源泉は、年単位で収穫される稲等であったから、俸給の支給も1年または半年毎で人事考課も年一回であった。 今はやりの「日本型年俸制」よりも名実共に「年俸制」だったと云えます。
十七条憲法
国のあり方、国民の権利と義務を定めるのが憲法であるが、十七条憲法は、当時の豪族たちに対する道徳を説いた訓戒、謂うなれば、 朝廷の家来である「官人」への就業規則であり、私たちが考える「憲法」とは違う。有名な「和を貴べ」をはじめ、 ほとんどが今のサラリ−マンにも通用する内容です。一度読まれることをお勧めします。
(文責 小野寺)
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