ライフサポーターの集い
第28回中推協会員による研修会 高年齢者雇用確保措置と年金
講師 今井由美子
今井由美子氏  今回の発表は、東京都社会保険労務士会自主研究グループ「人事労務のための年金研究会」が 自主研究発表会(今年3月11日)で発表したものをベースに行った。
 2004年6月に可決成立した「高年齢者雇用安定法の改正案」から 2006年4月施行の「高年齢者雇用確保措置」を念頭に、高年齢者の雇用及び処遇について考察したものである。
 急速な高齢社会化と共に、2007から2009年に向けて団塊の世代が60歳定年を迎える。 すでに60歳代の年金は満額支給の開始年齢が65歳に向けて動き始めており、 60歳代前半の高年齢者の雇用機会の確保は緊急課題となっている。 しかし、企業にとっては、高年齢者雇用の拡大は、人件費負担の増加に繋がり、 一方新卒・若年者雇用の機会を狭めるという表裏一体の問題を抱えることになる。
 また、平成15年の総報酬制導入により、60歳到達後の在職老齢年金(以下、在老という)は、 直前1年間の賞与支給額に左右され一定額ではなくなった。59歳時の賞与からその後の在老額に影響を与え、 被保険者の収入の不安定要因になっていくのである。このような状況下において、 在老と雇用継続給付金活用の賃金シミュレーションを提示し、再雇用後に賃金が低下しても、 定年前と比較して、その手取り収入をある程度(75%〜85%)確保できることを紹介した。 また、会社負担金額を減額し総額人件費を抑制出来る事も示した。同時に、定額部分支給開始後の働き方として、 ワークシェアリングを提案し、労働時間と月例賃金を削減しても、60歳到達前の年収ベースの手取り金額か、 それ以上の金額を確保できることも合わせて紹介した。これにより会社は、人件費の負担を軽減することができると共に、 この減額分を若年者の新規雇用の原資として活用し、偏りがちな年齢構成を改善することが可能となる。
 次に、2007年問題でもある「技能伝承」については、高年齢者の持つ高度な技能を若年者・中堅者に継承させるためにも、 また高年齢者自身の仕事への動機付けのためにも、会社は人材育成の場を与える必要があり、そのうえで高年齢者は自ら指導員や 教官として指導育成する目標を立て、自分の使命を明らかにすることによって更に仕事へのモチベーションを高めるというような対策が必要であろう。
 今後、高年齢者の雇用機会の拡大により雇用期間が延びていくのであるから、賃金カーブの修正、 その他処遇制度(定年時の退職金とは別に退職功労金の追加等)の見直しが当然必要となる。 高年齢者の問題にとどまらず、今年は87万人にも達するといわれているニートの問題を含めて早期の対応が望まれるところである。
 最後に、2013年以降報酬比例部分が段階的にカットされ、老齢厚生年金の支給が65歳となる 2021年以降も60歳以後の高年齢者に現在と同じ再雇用の処遇が可能かどうか、言い換えれば、 現在公的給付でまかなっている部分を維持しようとすると、公的な給付なしで5年間の賃金低下に耐えられるだけの 対応はまた大きな課題である。残された時間はあまり無いのである。(資料要望の方はご連絡ください。03-6765-6210今井まで)

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