![]() 東京電力株式会社 環境部環境交流グル−プマネ−ジャ−
松本 尚也 氏
講演の要旨
1.エネルギ−と温暖化問題
文明の発展、特に近年の工業化の進展により化石燃料消費は飛躍的に増大し、
産業革命以前には280ppm程度で安定していた地球のCO2濃度は大幅に上昇しました。
地球温暖化問題の解決に向け、国際社会による具体的挑戦の第一歩となった京都議定書で、
わが国は「マイナス6%」の目標を揚げて取り組んでいますが、排出量は逆に増えており、
大変厳しい情勢です。日本のCO2排出の9割以上はエネルギ−利用に由来するため、
エネルギ−事業者にとって温暖化問題は事業の根幹に関る重要な課題です。
2.電力会社における温暖化対策
電力会社は、電気を「つくる」「つかう」の両面からCO2削減に取り組んでいます。
「つくる」面では、発電時にCO2を排出しない原子力発電や、排出量の少ないLNG(液化天然ガス)火力の活用が有効です。
太陽光や風力など自然エネルギ−の導入も進めていますが、出力が不安定でエネルギ−密度が小さいことなどから、メインの電源としての期待は困難です。一方、お客様が電気を「つかう」際の効率向上も重要です。 わが国では家庭やオフィスからCO2が大幅に増加しており、家庭では特に給湯の省エネが鍵となりますが、 当社が共同開発した電気給湯機「エコキュ−ト」はヒ−トポンプシステム採用により極めて高効率で、CO2削減に大きく貢献します。 さらに省エネ意識の浸透にも力を入れています。 電力会社が省エネを推奨することに疑問を感じられるかもしれませんが、 資源の有効活用はエネルギ−事業者である私たちが最も大切にする信条です。 当社は電気を中心とするシステムが社会全体のエネルギ−効率向上につながると考え、お客さまと力を合わせて取り組んでいます。 3.電力事業の「3つのE」
地球環境への関心が高まる今日でも、世界のエネルギ−消費の増加には歯止めがかからず、中国やアジア諸国などを中心に拡大する見通しです。
二度の石油危機から約三十年を経た今も、エネルギ−資源の殆どを輸入に頼るわが国の脆弱な構造は基本的には変わっていませんが、
最近の原油価格高騰の中、日本社会が全体として概ね正常な機能を維持している背景が二点あると思います。
一つはエネルギ−効率に高さです。日本は世界に冠たる省エネ技術を磨き、「抵抗力」を高めてきました。
もう一つはエネルギ−源の多様化です。原子力、天然ガス、石油、石炭など多様な資源のバランスが、調達と価格の両面でリスク分散に寄与しています。京都議定書の目標年度を目前にCO2削減は急務となっていますが、安定的な調達や経済性確保も同様に重要であり、 エネルギ−問題を解く方程式は単純ではありません。 当社を含め電気事業は、環境保全(Environment)・安定供給(Energy)・経済効率(Economy)のどれか一つに偏るのではなく、 これら「3つのE」の同時達成を常に基本に据ながら、事業活動を展開しています。 |