ライフサポーターの集い
大往生専門委員会
「大往生への旅 ― その道のりを考える」
伊 藤  洋   
 大往生について辞書には、「天命を全うして、安らかに死ぬこと、また、立派な死に方」とあります。 つまり「大往生を遂げる」とは、こういうことだ、とすると私のような凡人に、 そんな死にかたができるのかといった素朴な疑問が湧いてきます。 さらに往生に関連したこととして、往生講、往生伝、などが併記されていました。 たぶんこのあたりにヒントが凝縮されているのではないかと思われます。 しかし、その道のりは決して平坦なものでなく、かなり厳しいものであることが伺えます。
 お釈迦様の教えの中に、よく知られている「生老病死」という有名な教えがあります。 また、262文字で記された有名な「般若心経」の思想は、@観世音菩薩への信仰 A「色即是空、空即是色」という空の思想 B般若波羅蜜多への崇拝とそれに至ろうとする実践であり、「空の思想」が中心思想になっていて、 お釈迦さまの智慧とお悟りが凝縮された経典といわれています。 私たちは、こうしたことを少しでも日常生活に活かしながら残された人生を有意義に、 どう生きていけばよいのかを改めて考え、実生活の中で、これはと思うことを具体的に実行していく必要があるのではないでしょうか。 やるべきことは山積していると思います。それが今回の発表会の趣旨でした。
 まず、これからの生き方をどうするのかを夫婦間で時間をかけ、確り話し合うことがスタートと考えます。 家計、健康、介護、相続、どう死を迎えるのか、葬儀は、お墓はどうするのかなど、自分自身でも解決できないことも多くあます。 また、人に必ず依頼しなければどうにもならないことなども多くあり、こうしたことを、少ない時間の中でお話をしました。
これからの人生後半は、誰にも拘束されない時間で、自分を創造するもっとも生甲斐のある人生であると同時に、 後戻りのできない人生であることも間違いないことです。どう生きるかがその人の一生を左右することになります。 大切なことは、人間だれしも、"相手があって自分があり、自分があって相手がある"ということです。 「人を助けなければ、自分も生きていけない」とよくいわれます。また、「過去に拘らない、未来に期待ばかりしてもいけない、 今日一日を生きなさい」と釈尊は教えています。般若心経でいう「心無?礙」(シンムケイゲ)は、サラリとこだわりなく生きよう、 「無?礙故」(ムケイゲコ)は、いやなこと、つらいことを忘れ癒すこと、「無有恐怖」(ムウクフ)は、おそれ、おののくことなき心をもつ法、 を示しています。つまり、大雑把な解釈ですが"過去の失敗にとらわれることなく、現在、過去に向け精一杯努力していくことこそが、 なにより大切だ"と教えています。
 江戸期の禅の名僧白隠禅師の師である正受老人の生き方の一つに「一日暮らし」があります。 「一生を長いと思うな、今日一日しか自分の人生はないと思って励め」これは、一日一生という正しい無常観の生き方とされています。 これに関連した新聞記事を先日、拝見したのですが、「私は、かつて重病で長く入院していましたが、 今は健康のありがたさがわかり、一日を一生と思い楽しく有意義に暮らさせていただいております」との記事に感銘したことを覚えています。 このように、一日一日を大切に生きたいものであります。松原泰道さんは、今年100歳を迎えられ、 現在も「生涯修行」、「臨終定年」として丹精に、しかも、お元気にご活躍されております。
(C)NPO法人東京都中高年福祉推進員協会

前ページへ    次ページへ